(具体例)
アパートを所有していますが、屋根の一部が腐敗したので、200万円の防水工事を行ないました。
このアパートは、3,000万円で取得したものですが、5年前に特定事業用資産の買換えの特例(措法37)の適用を受けています。特例適用後の取得価額は、1,000万円です。
上記200万円は資本的支出か修繕費か明らかではないので、全額を修繕費として必要経費にしてもよいのでしょうか?
アドバイス
200万円の防水工事の全額を修繕費として必要経費にすることはできません。
資本的支出か修繕費か明らかでない場合について
修繕費か明らかでない金額があり、その金額が次のどちらかにあてはまる場合には修繕費とすることができます。
- その金額が60万円未満の場合
- その金額が、修理、改良等した固定資産の前年の12月31日における取得価額のおよそ10%以下の場合
「前年12月31日における取得価額」について
固定資産の当初の取得価額に過去にした資本的支出額を加算し、除却があった場合はその分を控除した金額のことです。
※帳簿価額(未償却残額)とは違いますので、注意してください。
また、この取得価額は、いわゆる税法上の取得価額を意味していますので注意してください。
例えば、収用や買換えの課税の特例の適用を受けて取得した代替資産や買換資産の場合は、「特例適用後の取得価額」をさします。
質問の場合は、次のようになります。
1,000万円×10%<200万円
従って、防水工事の費用200万円は、特例適用後の取得価額1,000万円の10%の100万円を超えていますので、防水工事費用の全額を修繕費として必要経費にすることはできません。
ただし、継続適用を条件とした資本的支出と修繕費の区分の特例により、その防水工事の費用の30%が修繕費として必要経費にできる場合があります。
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