(具体例)
機械製造業を営んでいます。この度、機械について新技術のアイデアを思いつきました。これは、今までにない画期的なものなので、実用新案権を取得する予定です。
ただ、まだアイデア段階ですので、技術の完成と実用新案権の取得は来年以降になりそうです。
本年は、実用化に向けて特別開発チームをつくり、2,000万円かけて研究開発を行ないました。
この研究開発費は、繰延資産として償却できますか?
アドバイス
本年は、試験研究費の支出の効果が及ばないので、繰延資産として償却することはできません。
繰延資産とは、不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得に関する費用のうち、支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶものをいいます。
試験研究費とは、新たな製品の製造や技術の発明に係る試験研究のために特別に支出する費用です。
※資産の取得にかかった費用と前払費用は、除かれます。
質問の場合は、試験研究費になりますか?
新技術の実用化に向けた研究開発のために支出したものですので、「新たな製品の製造や技術の発明に係る試験研究のために特別に支出する費用」になると考えられます。
では、繰延資産として償却してもよいのかどうかですが、試験研究費については、その支出の効果がその試験研究における権利の取得の時までに及ばない場合は、その支出額はその権利が取得された時点で取得価額を形成することになります。
一方、権利の取得の時までに支出の効果が及ぶことになった場合は、繰延資産として償却することになります。
質問の場合は、本年中に新技術は完成していませんし、その試験研究によって収入も得ていませんので、本年中は試験研究費の支出の効果が及ばないといえます。
従って、繰延資産として償却することはできません。
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