(具体例)
今年8月に店舗を取壊しました。資産損失を計算する際の未償却残額は、次のどちらの金額を使うのですか?
(1) 昨年末の店舗の未償却残額 20,000,000円
(2) 今年8月の店舗の未償却残額 19,000,000円
アドバイス
どちらの未償却残額でも差し支えありません。ただし、(2)の金額を使う場合には、店舗の償却費1,000,000円を本年分の所得の必要経費にします。
業務用資産の損失について
資産損失は、譲渡に関連するもの以外は、その損失の生じた年分の必要経費になります。
この資産損失の金額は、事業用固定資産の未償却残額を基に計算することになっています。
この場合の未償却残額について
資産の取壊しなどの日に、その資産の譲渡があったものとみなした場合にその資産の取得費とされるものをいいます。
もう少しわかりやすく言いますと、資産の取壊しなどの日にその資産の譲渡があったと仮定して計算される「仮定取得費」ということができます。
年の途中で取壊した減価償却資産の償却費の取り扱いについて
年の途中で譲渡した減価償却資産の償却費については、平成13年以後、譲渡所得の計算上取得費に含めても事業所得の必要経費にしても、どちらを選択してもよいことになりました。
これは、仮定取得費の計算にも適用されるものと思われます。
ですから、平成13年以後は、資産損失の計算の際の未償却残額は、納税者の選択によって異なることになります。
つまり、償却費を仮定取得費に含める場合には、前年分の未償却残額が、そうでない場合には、資産の取壊しなどの日の未償却残額が、資産損失の計算の際の未償却残額になります。
なお、取壊し等の年分の償却費を仮定取得費に含めないことを選択した場合には、その償却費は、取壊し等の年分の必要経費になるものと思われます。
具体的な金額について
質問の場合の未償却残額ですが、あなたが本年分の店舗の償却費1,000,000円を仮定取得費に含めることを選択した場合には、(1)の20,000,000円となります。
また、そうでない場合には(2)の19,000,000円になり、償却費1,000,000円は所得計算上必要経費になります。
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