(具体例)
クリーニング店を経営しています。先日、配達用の自動車が追突されて被害を受けましたので廃棄しました。加害者に損害賠償を請求しましたが、示談交渉が妥結していないので、今年中に損害賠償金は受け取れません。
この場合、自動車の廃棄直前の未償却残額(帳簿価額)100万円と廃棄にかかった20万円は、本年の必要経費にできるでしょうか?
アドバイス
損害賠償金を受け取ることが確実と認められるときは、未償却残額の100万円からその金額を差し引いた金額を必要経費にします。また、廃棄にかかった20万円は本年分の必要経費にできます。
事業用固定資産の除却により損失が生じた場合の処理について
その損失額は、その損失が生じた年分の不動産所得、事業所得、山林所得の必要経費にすることになっています。
この資産損失の金額は、損失の生じた日の未償却残額をもとに計算します。
保険金などで補てんされる場合について
保険金、損害賠償金その他これらに類似するもので補てんされる部分がある場合には、未償却残額からこれらの金額を控除しなければなりません。
「保険金、損害賠償金その他これらに類似するもの」が、確定申告の提出時までに確定していない場合について
その場合でも、保険金などの見積額を控除する必要があります。
よって、損害賠償金を受け取ることが確実なときは、その見積額を自動車の未償却残額100万円から控除する必要があります。
見積額と後日の確定額が異なった場合について
この場合は、遡及して事業所得の金額を訂正します。
廃棄にかかった費用について
本年分の必要経費になります。
後日損害賠償金を受け取ったときについて
上記のように、必要経費に算入される損失の計算において控除されますが、損害賠償金の収入そのものは非課税になります。
けれども、廃棄にかかった費用を補てんする損害賠償金については、その金額が確定した年分の事業所得の計算で、総収入金額に算入する必要がありますのでご注意下さい。
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