(具体例)
民宿を経営しています。今年の台風で、建物の一部が損壊しました。そこで、現状回復工事と、損壊前より建物の価値を増加させるような改良工事をしました。この工事に2,000万円を支払いましたが、現状回復工事と改良工事に区分するのは不可能です。
この場合、資産損失と修繕費はどのように計算すればよいですか?
■損壊直前の建物の帳簿価額 1,000万円
■損壊直後の建物の帳簿価額 600万円
アドバイス
必要経費になる資産損失は400万円です。また、修繕費は200万円になります。
現状回復部分と資本的支出部分が区分できない場合について
災害によって損壊した建物を復旧する場合は、一般的には、現状回復工事だけでなく、損壊前より価値を増加させるような改良工事も同時に行われると思われます。
その場合、現状回復部分と資本的支出部分が区分することは実務上困難な場合が多いので、支出総額の30%を現状回復費用、70%を資本的支出とする簡便計算が認められています。
しかし、その30%のうち、損壊直前の資産の簿価から損壊直後の資産の時価を控除した金額部分 ※ は、資本的支出になります。よって、その資本的支出部分を控除した残額が必要経費になります。
※受取保険金がない場合は、資産損失と同額になります。
具体的な金額について
次のようになります。
(1) 資産損失の必要経費額
帳簿価額(1,000万)−損壊直後の金額(600万)=400万円
(2) 修繕費の額
@ 現状回復額
2,000万円×30%=600万円
A 修繕費
現状回復費(600万)−資産損失 ※ (400万)=200万円
※受取保険金がないので、資産損失と同額になります。
よって、必要経費になるのは、資産損失が400万円、修繕費が200万円です。
資本的支出になる金額について
2,000万円×70%=1,400万円と、修繕費にならなかった400万円の合計1,800万円です。
|